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仮想通貨と規制part2【3月G20開催を経て&7月G20に向けて】

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3月19,20日、G20会議開催

2018年3月19日から二日間、アルゼンチンのブエノスアイレスで「G20財務相・中央銀行総裁会議」が開催されました。

今回の会議の最大のトピックは、トランプ米大統領が発表した米国の輸入制限をめぐる議論と、そして、ついに国際的にも議論の的となるようになった仮想通貨リスクについてです。

ブロックチェーン技術に対しては世の中的にも広く認知され、その実用性についても評価されつつあります。

しかし仮想通貨そのものに対してはまだまだ実用性が評価されているとは言い難く、反面、投機としての側面が強く、ボラティリティの高さは未熟なユーザーを危険に晒し、匿名性の高さはテロ集団の資金源にもなり得るなど、様々な問題を抱えているとされ、まだまだ実需への期待よりもリスクと捉えられることの方が多いのが実情です

世界の中でも仮想通貨の取引量が多い日本は今回の会議でも議論の中心になることが予想されていました。当初、日本からは麻生財務大臣が出席する予定でしたが、森友問題の影響で欠席することとなりました。

その麻生大臣はコインチェックがNEMを流出させた事件の直後は当然規制を強化することとしたものの、2018年1月に中国・韓国が仮想通貨取引に強硬規制を敷く一方で、日本の仮想通貨事情については「なんでも規制すれば良いとは思わない」と言及し、保護的な姿勢を見せています。

また、事前の情報でもこの会議では仮想通貨取引を抑制するというよりも、既述のリスクをいかに軽減するかということに焦点に当てた、むしろ仮想通貨技術について保護的な規制が敷かれることになるだろうとされていました。

そのため2017年末から2018年年明けすぐにかけての最盛期後、ネガティブな話題が多かった界隈ですが、このG20を契機に、規制がかけられるにしてもそれはポジティブなもので、今後はさらに実需に向けた方向に進むだろうと多くの人が期待していたことでしょう。

さて、そんな多くの仮想通貨投資家が注目するG20会議、実際にはどんな議論となったのでしょうか。

金融安定理事会、会議前から規制拒否を表明

と、会議で話された内容に触れる前に、実は金融安定理事会(FSB=Financial Stability Board)の議長を務めるイギリス中央銀行総裁・カーニー氏は、3月19日に開催されるG20の面々に、事前にメッセージを送っていました。

そのメッセージの内容というのが、「現時点において、仮想通貨は国際金融の安全性を脅かす存在ではない」という、国際的に急ぎ足で規制強化に舵を切ろうとする趨勢に反するものでした。また、その理由は「この業界の市場規模は国際金融システムのそれと比較すれば小さなものだから」というものでした。

これまでも多くの関連する業界の大物が仮想通貨について各々賛否を説いてきました。その度に相場も大なり小なり変動してきましたが、今回は国際会議にも影響し得る人物・タイミング・内容であったことから規制による市場への不安が多く取り除かれることとなり、その結果、

78万円まで落ち込んでいたビットコインの価格が一気に15%も上昇する動きを見せました。元々予定されていた会議の内容も仮想通貨を保護する内容でしたので、規制規制と騒がれていても、どちらかというとポジティブな内容が予想されていたこともありましたが、会議が始まる前から相場は活気付きました。

実際の議論はいかに?!

まずこちら「20か国財務大臣・中央銀行総裁会議声明(仮訳)(2018年3月19-20日 於:アルゼンチン・ブエノスアイレス)」は日本の財務省ホームページの本会議に関する声明記事です。ご参考までに。

さて、それではいよいよどんな話し合いになったのか、簡単にまとめてみますと、

・今回の会議では、具体的な規制案及びその実施は無し。

・「監視を続ける」こととし、規制案は7月の同会議にて行うこととした。

・呼称を「暗号資産」に改めることとし、投資商品として認める。

・規制強硬派だったフランスの財務大臣が一転して、仮想通貨に対し肯定的な意見を主張。

このような感じです。

まず今回の会議で一番の注目されていた、国際的に規制はなされるのか否か、という点ですが、今回は結論は出なかったようです。あくまで監視を続けるということで、7月のG20会議で具体策を提示しましょうということでひとまず決着しました。

まあ昨年末に最盛を見せてからたったの3,4ヵ月程度しか経っておらず、まだ課題が浮き彫りになりつつある、という段階ですので、今の今国際的に一律の規制を敷くというのも現時的には時期尚早だったのかもしれません。

ということで、7月に開催される同会議ではマネーロンダリング(資金洗浄)の防止などに焦点を当てた具体的な規制案を定めるとし、今回はお茶を濁した形となりました。

とはいえ、非中央集権が売りであった反面、無秩序状態が続いていた仮想通貨市場ですので、国際的に足並みを揃えて交通整理していこうという動きは大きな一歩だったと言えるでしょう。

ちなみにこの二日間の市場の変化というと、

前日から大幅な伸びを見せていましたが、規制による市場縮小が起こらないことがわかったため、不安が取り除かれた市場はそこからさらに10%もの上昇をみせ、BTCは再び100万円に迫りました

また、今回具体的な規制案は決定しませんでしたが、一つ重要な声明が出されました。というのが上記枠内の三つ目のポイントですね。
FSBの会長にしてオランダ中央銀行総裁のクラース・クノット氏が「仮想通貨は主なソブリン通貨としての特性を欠いており、「通貨(currency)」ではなく「資産(assets)」である」と述べ、G20の共同声明において「仮想通貨ではなく暗号資産と呼ぶべきだ」とされました。

ソブリン通貨とは言ってしまえば中央銀行が発行し、世の中的に信頼を得ている通貨のことです。まあ元々非中央集権を売りにしている通貨ですのでそこはしょうがないでしょう。ただし「通貨」という認識から「資産」に変わった点は大きいと言えるでしょう

通貨は価値が保証された決済手段であり、資産はお金や土地など経済的価値を有するものです。ボラティリティの高さやまだまだ普遍性が低いことから、確かに価値が保証されているとは言い難いと思いますので、定義論としてはあながち間違いではないかもしれません。

ただ、通貨と資産では取扱上異なる点の一つとしては、人の手から人の手に移った時に課税の対象となるかどうか、です

資産の場合は交換の際に税金が課されますが、通貨であればかかりません。今は所得税として売買益に対して税金がかけられていますが、この考え方が世界的に共通見解として改めて認識されたということになります。

しかしお店などが決済手段として認めており、通貨として機能していることも事実です。通貨として使用された場合や仮想通貨同士の交換の場合にも消費税とはまた別に税金が課されるようであれば非常に不便になってしまいます

また、仮想通貨同士の交換の場合にも税金が課されることになってしまいますので、この点も敬遠する人が出てくることにつながりかねません。

以上が今回の会議で主だった決定事項になります。国際的に話し合われたといのは確かに大きいですが、はっきり言って進展はほとんどしていない、というのが実情と言えるでしょう。

ただ最後の一点、今回の議題を呼びかけたフランスとドイツのうちフランスの財務大臣は、当初は比較的強めに仮想通貨に対して否定的であったところ、かなり柔和な対応になりました。一例に過ぎませんが、規制を強硬的にかけるか保守的にかけるかこれまで二極化していたところ、国際的にも後者寄りになりつつあることを表している事例と言えるでしょう。

今後の展望

7月に開催されるG20の会議でもまた本議題について話し合われることになっています。その場で具体的に規制案を固めるにあたり、各国考えを整理していくことになるでしょう。

その際の基準としては、金融活動作業部会(Financial Action Task Force=FATF)の指針を用いることとしました。FATFでも今年2月にその総会が開かれ、そこでも仮想通貨のマネーロンダリングの危険性とそれに対する必要な措置について話し合われています。

日本ではコインチェックNEM流出事件後、利用者保護の観点から規制が強化されました。登録制を徹底し、今までみなし業者で運営をしていたところは営業が認められなくなり、登録企業でもチェックが強化され、至らない点があれば業務改善計画の提出を求めるようになりました。

3月開催では日本の規制方法というのが一つの参考になる予定でしたが、7月開催はFTAFの指針が軸になるということですので、より煮詰まった議論と規制案が具体化されると考えられます。

ただし7月までは、「監視を続ける」という言葉の通り、当面は”現状維持”ということになるでしょう。それは裏を返せば、7月までは様々なリスクを温存することを意味します。上述の通り、G20で規制がかけられないことが決定した直後は確かに相場は上向きました。しかしその後1週間の経過を見てみますと、

このように上昇トレンドへの転換には至りませんでした。また、SBIバーチャル・カレンシーズは今回のG20の動向をみて営業開始の時期を見計らっていたと言われていますので、そういったところにも影響が波及しています。

もうしばらく我慢の時期が続くのかもしれませんが、ひとまず世界的に仮想通貨やその利用者保護の為に動いていることは間違いありませんので、7月までは情勢を見守っていくことになるでしょう。

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