目次
はじめに
2017年、仮想通貨は世界中で過熱し、著しい成長を遂げました。しかし投資初心者を巻き込んでのその過熱ぶりはさながらバブルを彷彿とさせ、各国の財政・金融当局はその崩壊を危惧しました。
そんな中で大きな動きを見せたのが中国でした。2018年1月16日、中国当局は国内の仮想通貨取引に大幅な制限をかける措置を取ることについて声明を発表しました。その結果、市場は一気に売り気が強まり、一時はなんと1BTCの価格が170万円から100万円まで、約40%も下落しています。
そしてそのすぐ後、1月18日にはフランスとドイツの関係当局が、3月にアルゼンチンで開催されるG20財務省・中央銀行総裁会議において、仮想通貨取引に対して国際的な規制を設ける方針を打ち出すと公表しました。この時は市場に大きな影響はなかったものの、その代わりにG20での議論に注目が集まることとなりました。
現在各国政府による「規制」は、仮想通貨取引市場に最も影響を与える要因といっても過言ではありません。
ここではまずこれまで仮想通貨に対してどんな規制がかけられてきたかという話と、G20での議論の展望を予想したいと思います。
過去の主な規制
2013年12月 中国でビットコイン及びビットコインに関連する金融商品の取引を停止
2013年12月に、中国人民銀行が、国内の金融機関に対してビットコインを用いたサービスの提供を停止する規制を打ち出しました。これにより当時高騰を続けていたビットコインの価格が1BTC約12万円まで上昇していたところ、なんと50%減の約6万円まで暴落するほど市場に影響を及ぼしました。
2017年9月 中国規制当局が中国国内の仮想通貨取引所に対し、全面的に取引停止命令を発令
また中国です。まず同月4日に中国人民銀行が各取引所にICOによる資金調達を禁止するようにという声明を発表しました。これを受け、同月14日に中国三大取引所の一つBTCCが自ら取引を一時停止することとしました。そしてその翌日から他の取引所も続々と取引を停止することとし、その結果相場は大暴落となりました。この時は45万円から一気に30万円まで、約33%も下落しました。
2018年1月 中国において、取引所のみならずその他全ての取引スキームに対して規制
またまた中国です。これは冒頭でも述べた事例です。既述の通り中国では過去何度も大きな規制をかけてきましたので、その結果、中国国内では多くの人に大幅な制限がかけられたことになります。しかしその実、中国国内では仮想通貨取引所と同じような売買機能を持ったオンラインプラットフォームや携帯アプリといったスキームを使った、取引所を通さない仮想通貨の売買が盛んになっていたのです。
この事態を察知した中国政府は、これまでは主に取引所に対して規制を敷いてきましたが、今回は中国国内の仮想通貨ネットワーク全体に制限をかけるという規制を敢行しました。
その結果は既にのべた通り、1月16,17日の二日間に渡ってビットコインの価格が40%も下落するほどでした。
まとめ
世界的な仮想通貨に対する規制の歴史を振り返りましたが、これでは世界の、というより中国の、ですね。ただこれは偏重して事例をチョイスしたわけではありません。各国でも規制は敷いているものの、中国で実行される規制の影響が圧倒的に大きいのです。
例えば日本の場合は(まあ規制がそもそも群を抜いて緩いのですが)仮想通貨法の制定や金融庁の認可無くして仮想通貨取引業者としての活動を認めないなどの法整備を行なっています。
アメリカは仮想通貨に対して厳しい目で見ており、一定の規制をかけてはいますが、それでも取引を強制的に停止するなどの強権的な規制というのはかけていません。
中国の他に仮想通貨取引が盛んに行われている国の中で比較的厳しめに規制がかけられている国というと韓国が挙げられます。1月23日に、同月30日より実名登録以外の口座の使用の禁止や外国人による韓国国内の取引所へのウォンの入出金の禁止、取引限度額の設定といった規制を行うことを発表しました。その結果市場にも少なからずマイナスの影響を与えることとなりました。
しかしそうは言っても中国における規制の規模とその影響に比べるとさほどインパクトは大きくありません。中国の場合、人口の多さとここ数年の経済成長の伸び、そして政府のイニシアチブの強さが合間って、これほどまで強烈にインパクトをもたらすのでしょう。
そのため、やはり今のとこ、規制の過激さがもたらす影響力の大きさというと中国のそれに比類するものはなく、裏を返せば中国の仮想通貨に対する規制については常に注視する必要があると言えるでしょう。
G20でのに関する議論の展望
これまで規制により何度も暴落の憂き目にあった仮想通貨市場ですが、上記の2018年1月の中国における全面規制の直後、ドイツとフランスが共同で今年3月にアルゼンチンで開催されるG20財務省・中央銀行総裁会議において仮想通貨に対する国際的な規制の制定に向けた議論を行うことを発表しました。
これまで膨れ上がる仮想通貨市場に強制ブレーキをかけてきたのは主にアジア圏でしたが、ついに事態を重く見た欧州の国々も声をあげるようになり、国際会議で議論されるまでに至りました。
G20での目的は、仮想通貨のボラティリティの高さが生み出すリスクから国民を保護することであったり、マネーロンダリングや不正取引の横行、テロ資金の調達などを防ぐことにあります。
では具体的には一体どんな規制がかけられることになるのでしょうか。まだ具体的な措置案は提示されておりませんが、当サイトでは
・市場へのアクセス制限の強化
・FXや信用取引のようなハイリスク・ハイリターンサービスへの制限強化
といったことが議題になるのではないかと考えています。
一つ目は日本ではほとんどありませんが、世界を見渡すと、国によっては身分証明などがなくても取引所に登録ができ、参入が認められていることが往往にしてあったりします。アクセスのしやすさが投資初心者を甘い香りで誘い込み、リスクの海に引きずり込んでいる恐れがあるのです。それに身元不詳の人間の市場への参入を許すということは、テロ組織の資金調達の温床にもなってしまいます(というよりもうなっていると考えた方がいいでしょう)。投資家保護だけでなく、国際秩序を維持するためにも、まずはそう言った基本的な防波堤の構築が求められるのではないかと考えられます。
ただそう言った意味では、入り口の時点ですでに一定の検閲がかけられている日本においては、行動が制限されることはあまりないかもしれませんね。
次にFX等のレバレッジがかけられる金融サービスに対する制限が考えられます。
FXや信用取引、先物取引が挙げられますが、これらは超がつくほどのハイリスク・ハイリターンなシステムになっています。そして仮想通貨取引市場では、機関投資家の影響力が絶大です。機関投資家のさじ加減一つでトレンドが変化すると言っても過言ではないほどです。とりわけ先物取引でポジションをとっていようものなら、タイミング次第で機関投資家の圧倒的な売りに巻き込まれてロスカットなんていうことが多分にあり、それが暴落の引き金になっているとも言われています。こう言ったハイリスク・ハイリターンシステムにメスを入れることで、市場全体のリスクを低減させるということがあり得るのではないかと考えています。
当サイトによるG20規制予想
・入り口の時点である程度敷居をあげる。
・リスクの高いサービスに歯止めをかける。
最後に
来たる3月のG20で、ついに世界規模で仮想通貨投資市場にメスが入ることになります。もちろん上記の予想は外れるかもしれません。しかし、願わくば、大幅な規制がかけられるにしても、仮想通貨やその土台のブロックチェーン技術の発展にブレーキをかけることの無いような内容のものであってほしいと思います。
規制は必ずしも否定されるものではありません。仮想通貨は非中央集権性を売りにしてはいるものの、とりわけこの規制が緩いとされる日本国内ですら、コインチェックNEM盗難事件の後、事態を収集させたのは確かに国家機関によるテコ入れでした。とはいえ中国でこれまで行われてきた規制はかなり強権的であり、仮想通貨に対し否定的なものでした。やり過ぎ感は否めません。
技術の進歩は妨げるものではなく、それが人類の発展に寄与するものであればむしろ技術促進を促し、社会に浸透させることにこそ尽力すべきだと考えられます。
各国の金融界のトップが一堂に会すG20の場において、より生産性のある議論が行われれば、今の仮想通貨に対する過熱ぶりがどうのこうのという話だけでなく、その先の仮想通貨の中長期的な展望が見えてくるかもしれませんね。
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