世界規模で展開するコーヒーチェーン店のスターバックスコーヒー。実は仮想通貨の普及にも積極的な姿勢を見せており、一部店舗では仮想通貨の利用も可能としています。
毎日の生活の中であらゆる場所で目にするスターバックスですが、日本以外にも世界90以上の国と地域に店舗があり、合計店舗数はなんと2万件を超えています。
その規模の大きさから、スターバックスでの仮想通貨決済の取り扱いは仮想通貨が支払い手段として世の中に浸透していくことに大きく関係していると考えられます。
今回は、スターバックスの仮想通貨対応状況や、スターバックスが仮想通貨に関してい現在取り組み中の事業について解説していきます。
目次
韓国スターバックスで仮想通貨が利用可能に?
韓国にあるスターバックスの店舗にて、韓国発の仮想通貨「PLAYCOIN(プレイコイン)」が利用可能になりました。
こちらは、店舗で注文を決済するときの直接的な支払いにはまだ未対応ですが、スターバックスで使えるクーポンの購入に使用することができます。
プレイコインの具体的な使用方法ですが、プレコインのウォレットである「Qbao(キューバオ)」で利用できるアプリ「PlayShop(プレイショップ)」の中で、スターバックスのクーポンを選んで即座に購入することができます。
今の段階ではビットコインやイーサリアムなどのメジャーな仮想通貨を決済として利用することはできませんが、仮想通貨での支払いを本格的に導入していく事例の一つと言えそうです。
また、プレイコインはすでに韓国内のコンビニでは決済として使うことができ、今回紹介したスターバックスでの利用以外にも実用性のある仮想通貨です。
PLAYCOIN(プレイコイン)とは?
PLAYCOIN(プレイコイン)はもともとゲームの決済に使われることを目的として開発された仮想通貨です。発行元は、韓国で人気のゲーム「Special Force2」を台湾で販売している会社「Game Hub Corporation Limited」です。
プレイコインを利用することで、ゲーム開発者とユーザーを直接結ぶことが可能になります。
それが実現すれば、中間業者が不要になるため無駄なコストを削減することができ、ゲーム開発者は利益の増大につながり、またユーザーも様々な面で恩恵を受けられる可能性が出てきます。
今後、ゲームで遊んだりシェアすることによってユーザーがプレイコインを手にいれることができるようになり、そのプレイコインを使ってゲームを買えるようにするなど、プレイコインの普及に向けて環境を整えていくということです。
このプレイコインがスターバックスでのクーポン購入に使用できるようになったことは、通貨の価値を向上させる一つの要因になると考えられます。
【公式サイト】https://playcoin.blog/
ビットコインでスターバックスコーヒーを買える?
プレイコインを使ってクーポン購入を可能にしているスターバックスですが、それ以外にもビットコインなどを使ってスターバックスでの決済に対応するために、新たに仮想通貨プラットフォーム事業に参画することが明らかになりました。
そのプラットフォームは「Bakkt」と呼ばれるものです。これはニューヨーク証券取引所(NYSE)の親会社である米インターコンチネンタル(ICE)が設立したもので、2018年11月にサービスを開始する予定です。
インターコンチネンタルの時価総額は21兆ドル以上といわれており、さらにニューヨーク証券取引所の親会社でもあることから金融界での影響力は非常に大きく、まさに世界最大の取引所です。
Bakktの目的は総合プラットフォームの提供であり、設立にあたってはスターバックだけでなくマイクロソフトなどの大手企業とも連携し、仮想通貨の売買やネットワーク上で誰もが資産を保管、利用できるような世界を目指しています。
これが実現すれば、Bakktのプラットフォーム上でドルなどの法定通貨とビットコインなどの仮想通貨が取引可能となり、スターバックスの店舗においてもドルと仮想通貨を交換して決済に使うことができるということです。
この壮大なプロジェクトが成功に至れば、スターバックスやマイクロソフトなど提携している企業のネームバリューもあり、仮想通貨の普及が急激に広がっていく可能性が考えられます。
そうなれば企業だけでなく世界中の金融機関が仮想通貨に参入してくることが予想され、仮想通貨市場全体が一気に勢いづくことが期待されています。
ブロックチェーンを活用した「ビーン・トゥ・カップ」プログラムとは?
スターバックスの仮想通貨への参入は決済以外の分野にも及んでいます。その一つが、仮想通貨の基盤となるブロックチェーン技術を活用した「ビーン・トゥ・カップ」プログラムです。こちらは、コーヒー豆の生産から消費までの流れをリアルタイムで記録するという内容のプログラムです。
スターバックスはこれまで、コーヒー豆の仕入れについては紙ベースでの取引を行なっており、取引情報をリアルタイムで確認することは現実的には難しい状態でした。これについてブロックチェーン技術を活用することで、コーヒー豆の生産から流通、消費までの流れをリアルタイムで追うことができるようになります。
そしてリアルタイムで追えることだけが「ビーン・トゥ・カップ」のメリットではありません。ブロックチェーン技術は第三者による改ざんが難しいことも大きな特徴の一つであり、それによってスターバックスとコーヒー豆を生産している農家との取引にも安全性・透明性をもたらすことができます。
スターバックスがこのプログラムに乗り出した背景には、現状のコーヒー農家が置かれている立場的な弱さの改善に目を向けたことが考えられます。コーヒー豆の生産は非常に重労働であるにも関わらず、コーヒー農家が手にできる利益は少ないことが長年問題となっていました。
これを改善することができれば、コーヒー農家の立場向上だけではく、スターバックスとしても品質の良いコーヒー豆を安定的に仕入れをしていけることにつがなり、最終的にはユーザーへのサービス向上にも発展していく内容であるといえます。
スターバックスが仮想通貨の開発を検討?
前述のように仮想通貨やブロックチェーン技術に対して非常に意欲的なスタンスを持っているスターバックスですが、独自の仮想通貨への開発にも言及しています。
スターバックスの最高経営責任者であるハワード・シュルツ氏は、アメリカの番組「フォックス・ビジネス」の中で、スターバックスでの決済アプリにブロックチェーンを活用する可能性があることを話しています。
さらに、独自の仮想通貨の開発についてや、仮想通貨に対応する店舗の整備などについても検討しているとのことです。
仮想通貨やブロックチェーン技術によってキャッスレスでの利用が普及していけば、ユーザーはさらにスターバックスを便利に使っていくことができます。また、スターバックスとしてもブロックチェーンの活用により様々な面でコストを削減することが可能になります。
新たな仮想通貨「スターバックスコイン(スタバコイン)」が生まれる日も近いのかもしれません。
スターバックスと仮想通貨の将来性
現状、スターバックスに限らず「仮想通貨で決済」を普段の買い物に取り入れることは、まだまだ高いハードルがあると言えます。
しかし、私たちの身近にあるコーヒーチェーン店であるスターバックスが仮想通貨の利用に積極的に乗り出すことで、今まで仮想通貨にあまり興味のなかった人も少しづつ仮想通貨に対して目を向けるようになり、いずれ社会全体が大きく動く可能性も十分に考えられると言えるでしょう。
スターバックスの参画している総合プラットフォーム「Bakkt」が本格的に始動すれば、仮想通貨決済は今よりもはるかに簡単に実行できることになります。
また、ブロックチェーン技術を用いたプログラム「ビーン・トゥ・カップ」についても、コストをかけることでスターバックスだけではなく他のコーヒーチェーンについても同じ内容を実現することができるのです。こちらも飲食業界にイノベーションを起こし得る大きな取り組みとなっています。
スターバックスと仮想通貨の関わり方について、今後も注意深く観察していく必要がありそうです。