ビットコインキャッシュとは、ハードフォークによってビットコインから分裂した仮想通貨です。ビットコインとは違う特徴を持っており、将来性が高い仮想通貨として注目を集めています。
ビットコインキャッシュ誕生の理由や、ビットコインとの相違点、今後どのように成長していくのかなどを、詳しく解説していきます。
目次
ビットコインキャッシュとは
通貨単位 | BCH,BCC |
公開日 | 2017年8月1日 |
コンセンサスメカニズム | PoW(Proof Of Work) |
発行上限 | 2100万枚 |
公式サイト | 公式サイト |
ビットコインキャッシュとは、ハードフォークによってビットコインから分裂した仮想通貨です。
2017年8月1日にハードフォークが行われ、その時にビットコインを保有していた人に対して、1ビットコインにつき1ビットコインキャッシュが付与されました。
つまり、ビットコインキャッシュは、8月1日にビットコインを持っていた人に対して無料で配られた仮想通貨ということができます。
ビットコインキャッシュが生まれた当初は価格が暴落していましたが、その後価格が上昇し、一時は50万円近くの値をつけました。
その後、価格は下落していますが、時価総額で見ると、2018年9月現在、4位まで成長しています。
ビットコインの課題を解決?
ビットコインキャッシュは、「スケーラビリティ問題」という、ビットコインの課題を解決するための仮想通貨として生まれました。
スケーラビリティ問題とは、簡単に言うと、ビットコインの取引量が増えすぎたため、今のビットコインの性能では取引処理が追い付かなくなってしまったことを言います。
このビットコインのスケーラビリティ問題に対して、以下のように、解決方法が2つ提案されました。
- ビットコインのブロックサイズを大きくして、より多くの情報を書き込めるようにする案(ビットコインキャッシュ)
- ブロックサイズはそのままで、書き込むデータを圧縮して、より多くの取引情報を書き込めるようにする案(ビットコイン)
問題解決の方法を巡っては、①を支持する人、②を支持する人に分かれてしまいました。①を主張した人達の中で、特に有名な人が「ジハン・ウー」です。
ジハンは、ビットコインのホワイトペーパーを始めて中国語に訳し、中国に紹介した人物として知られています。
そして、世界最大のマイニング企業である「BITMAIN(ビットメイン)」のCEOでもあります。
ビットメインは2017年度の売上が25億ドル(約2760億円)、2018年第一四半期の利益は11億ドルにも達しており、その高い成長率は、既存の企業に、マイニングに興味を持たせるのに十分なものとなっています。
現在、ビットメインは、仮想通貨のマイニング企業として初めて「香港証券取引所」への上場を目指しており、ビットメインは、非常に影響力があるマイナーといっても良いでしょう。
そのビットメインのCEOのジハン・ウーをはじめとして、多くの人が「ビットコインのホワイトペーパーには、ブロックサイズを1MBに制限するということは書いていない。ビットコインは、ナカモトサトシが提唱したビットコインの姿からかけ離れている」として、ブロックサイズの拡張を強く主張しました。
そして、話し合いでも結着がつかなかったため、①のブロックサイズの拡張を主張する人達がビットコインキャッシュを分裂させたのです。
現在、ビットコインのブロックサイズは1MBですが、ビットコインキャッシュはその8倍の8MBあり、多くの取引に対応できるようになっています。
ビットコインも、これに対抗して「ライトニングネットワーク」という仕組みを開発していますが、まだまだ開発途上と言って良く、スケーラビリティ問題の解決にはなっていません。
しかし、今後、ライトニングネットワークが成功し、ビットコインに実装されれば、ビットコインの問題が解決され、高値を更新していく可能性が高まっていくでしょう。
その際に、ビットコインキャッシュの進化が問われることになるでしょう。
本物のビットコインを主張している
ビットコインは、「ナカモトサトシ」が提唱した仮想通貨ですが、彼の思想を受け継いでいるのは、ビットコインではなく、ビットコインキャッシュであるとしており、ビットコインとビットコインキャッシュは、ある意味ライバル関係にあります。
仮想通貨の中で、ビットコインは一番初めに作られたコインであり、特別な存在です。仮想通貨の取引では、ビットコインを使って売買が行われるなど、仮想通貨市場の基軸通貨でもあり、常に多くの需要があるため、価格も他の仮想通貨に比べて、飛びぬけて高値を保っています。
ビットコインキャッシュは、その特別なビットコインの「本家である」と主張しており、支持者も多くいることから、将来はビットコインにとって代わる可能性がある仮想通貨となっています。
ビットコインとの違い
ビットコインキャッシュとビットコインとの違いは下記になります。
ビットコインに比べてブロックサイズが大きい
ビットコインのブロックサイズは1MBですが、ビットコインキャッシュは8MBとなっており、処理能力が大きいのが特徴です。日常的に世界中の人々が決済に利用しても、問題がないように考えられています。
今後、ビットコインキャッシュは開発を精力的に行い、ブロックサイズを32MB、最終的には1TBまで拡大する計画を進めており、ビットコインキャッシュの性能はより高くなっていくと考えられています。
送金手数料が安い
ビットコインキャッシュは、手数料を気にせずに決済ができるように、ビットコインに比べて手数料がかなり安く抑えられています。
ビットコインの場合は、手数料が高騰し、一度の送金で数千円かかる場合もありました。しかし、ビットコインキャッシュの送金料は1円以下におさえられており、日常的に使いやすい仮想通貨となっています。
送金速度が速い
ブロックサイズが大きくなることで、ビットコインのような送金づまりがなくなるため、送金を行う際の速度が非常に早くなっています。
混雑時、ビットコインでは数時間かかった送金ですが、ビットコインキャッシュでは数秒で行うことが可能です。
中央集権的な仮想通貨
仮想通貨は、ブロックチェーンという最先端の技術を使ってつくられています。そして、ブロックチェーンは、「非中央集権のシステム」と言われており、特定の誰かや、特定の機関に管理されないことを特徴としています。
つまり、そのブロックチェーンを使ってつくられている仮想通貨も、「非中央集権」という理念を一番大切にしているのです。
ビットコインが作られた当初、この「非中央集権である」という理念に多くの人が魅力を感じ、ビットコインを支持し、開発してきたという経緯があります。
しかし、ビットコインキャッシュは、ブロックの拡張という「管理者によるシステム改変」を行っている集権的な通貨と見られています。
さらにブロック拡張により一部の大手マイナーが有利になりそのマイナー(中央集権)を信頼しなければ成り立たない決済システムとなってしまう危険性を孕んでいます。
人々の日常生活で利用されることを目指している
ビットコインキャッシュは、人々が日常的に気軽に決済に利用できるような通貨を目指しています。もともと、ビットコインは、世界中で使える通貨を目指していましたが、送金スピードが遅かったり、処理能力が低いために、瞬間的に決済しなければならない利用には不向きとなってしまいました。
ビットコインキャッシュは、これらの問題を克服し、スマホでバーコードを読み込むだけで、一瞬で決済できるような仮想通貨を目指しています。
アマゾンと提携
ビットコインキャッシュは、「Purse」と呼ばれる、アマゾンを利用した決済サービスを利用できるようになっています。
このPurseは、アマゾンで商品券を持っていても使い道がない人と、ビットコインキャッシュを持っていて、アマゾンでの買い物を希望している人がつながることができ、お互いにメリットがある「Win-Win」のサービスです。
今まではビットコインのみが利用可能でしたが、ビットコインキャッシュも追加されました。ビットコインキャッシュの方が、送金手数料が安くて使いやすいことから、ビットコインキャッシュの利用者の方が多くなっています。
ビットコインキャッシュが買える取引所
ビットコインキャッシュは、・ビットフライヤー日本のほとんどの取引所で売買することができます。
主な取引所としては、
・ビットフライヤー
・GMOコイン
・DMMビットコイン
・ビットバンク
・ビットポイント
・SBIバーチャルカレンシーズ
などが挙げられます。
ビットコイン同様、多くの取引所でビットコインキャッシュを購入することができますので、自分の使いやすい取引所を見つけてみましょう。
この中で、おすすめの取引所は、手数料無料のキャンペーンを常時行っており、指値の注文ができる「ビットバンク」です。
指値ができると、株と同様、あらかじめ注文を出しておくことができるので、安い価格で買えたり、逆に高い価格で売るなど、有利な条件で売買できる可能性が高くなります。
ビットコインキャッシュの保管方法は?
購入したビットコインキャッシュを保管するには、
・取引所のウォレット
・スマホなどにインストールしたモバイルウォレット
・パソコンにインストールしたデスクトップウォレット
・オフラインの状態で保管できるハードウォレット
などの選択肢があります。
利便性でいうと、いつでもどこでもスマホで送金することができる「モバイルウォレット」が使いやすいのですが、常にインターネットにつながっている状態のため、ハッキングされるリスクがあります。
長期的に保有する場合に、ビットコインキャッシュを一番安全に保管するには、ハードウォレットが良いでしょう。
有名なハードウォレットとして「トレザー」があります。アマゾンや公式サイトから購入することができ、ハッキングされる心配がないので、安心して仮想通貨を保管することができます。
ビットコインキャッシュの今後・将来性
ビットコインキャッシュが今後どうなっていくのか、将来性はあるのかということについては、意見が分かれています。
ビットコインキャッシュは性能も良く、支持者も多いものの、ライバルであるビットコインは、いまだに仮想通貨市場の基軸通貨であり、多くの人に利用されています。
また、仮想通貨市場に機関投資家が参入してくる際には「ビットコインETF」を利用すると考えられており、やはり真っ先に買われるのはビットコインとの予想が一般的です。
しかし、ビットコインの目指している「非中央集権」では通貨のトラブルや課題に直面したとき、そのシステムを簡単に変更できないというデメリットがあります。
対してビットコインキャッシュは、臨機応変にアップデートを繰り返せるため、より実用的な通貨となる可能性が高いと言えるでしょう。
ビットコインキャッシュの開発陣は、半年、一年という短期間ではなく、数年以上かけて「本物のビットコイン」を目指しています。
実際にアマゾンなどの大手企業で広く取り扱われることで、ビットコインキャッシュが基軸通貨となる可能性もあるでしょう。
今後の動向に注目していく必要がある仮想通貨であることは間違いありません。