仮想通貨はブロックチェーンの「改ざん不可」「非中央集権」などの画期的な仕組みにより、多くの人々を熱狂させている21世紀の期待プロジェクトです。
しかし、そのボラティリティの高さから、普及までは至っておらず、昨今のバブル崩壊により、多くのユーザーが損失を出してしまいました。
トレードの際などに、その不安定さを感じる方は多いのではないでしょうか?これでは、まだまだ安心して使用する環境であるとは言えず、その仕組自体に大きな課題を残しています。
ステーブルコインは、そんな今までの仮想通貨のデメリットである「価格変動が激しい」という点を補う仮想通貨です。
仮想通貨が実用的に使われるためにはステーブルコインが必須と言われるほど注目が集まっています。日本ではまだ実用化されていませんが、今後広く浸透すると考えられています。
このページでは、そんなステーブルのコインの特徴やメリット、課題、将来性についてご説明します。
目次
ステーブルコインとは
仮想通貨と言えば価格変動が激しくギャンブルのようなイメージを持っている方も多いと思いますが、価格が変動しない仮想通貨もあります。
それがステーブルコイン(Stable Coin)です。価格が一定のため、ボラティリティがなく、実生活で使いやすいのが特徴です。
ペッグ通貨とも呼ばれる
ステーブルコインは、別名「ペッグ通貨」とも呼ばれます。ペッグとは英語で、「釘止めし、安定させる」という意味で、基軸となる通貨と連動して、価格を同様に保つ特性を持った通貨です。
発行元ともなる銀行などの法定通貨を担保してトークンを発行する仕組みとなっています。
ステーブルコインの種類
ステーブルコインの種類は大きく分けて3つとなります。
②仮想通貨担保型:DAI(ETH担保)
③無担保型:Basis、Saga
①法定通貨担保型:USDT、TSUDなど
決められた通貨によって価格を担保されているので、いつでも決まったドルに交換できます。しかし、日常的に使うのは難しいかもしれません。
例えばUSDTでは、ドルの価格に左右されてしまうため、アメリカの経済状況が不安定になれば、その価値は大きく変動してしまいます。
本当の意味でのボラティリティが低い通貨として、世界中の人々が利用するためには、一国の経済状況に左右されない仕組みが必要でしょう、
さらに世界規模で使うには、あらかじめ大量の資金を集めておく必要があります。また、信用できる機関を通す必要があります。
その例は銀行ですが、銀行は特定の管理者を置かない仮想通貨を避けたがっているのも現状です。
信用できる機関(銀行など)を通す必要があるにもかかわらず、その機関との相性が悪いわけですから、実用化は難しいと言えるでしょう。
②仮想通貨担保型:DAI(ETH担保)
他の仮想通貨が担保するタイプです。担保とは通常、債務者が債務を果たさない(果たせない)場合に代わりに損害を補ってくれるものです。
そのため、安定した信頼のある機関が担保する必要があります。
しかし、まだまだ仮想通貨業界全体が不安定な状況です。
仮想通貨担保型は、不安定な仮想通貨を不安定な仮想通貨で補う形になり、安定性に欠けることが分かります。
その中で現在、仮想通貨担保型で最も期待されているのがイーサリアム担保です。
既に市場でば一定の価値が認知されているため、比較的信頼度の高い通貨と入れるでしょう。
今後のERC20トークンの開発状況次第では、需要が高まる可能性もあるでしょう。
③無担保型:Basis、Saga
文字通り無担保で運用されるものです。現在一般的に使われている通貨に最も近い状態ですので、仮想通貨が通貨として普及するには無担保型のステーブルコインが大きな役割を果たすと期待されています。
ステーブルコインは実生活で使いやすい?
スイスリアルコインのCEO、ブリジット・ルギンブールはステーブルコインを以下のように定義しています。
「ビットコインのようなボラティリティの高い仮想通貨とは違い、ステーブルコインは現実の世界に基づいているため、人々を憂鬱な価格変動で悩ますこと無く、彼らに実用的で役立つ利益を提供する」。
今までの一般的な通貨のように価格が一定なので、実生活で使いやすいのです。
例えば、お小遣いを仮想通貨でもらうとしましょう。価格変動の大きい仮想通貨では、昨日はお小遣いでジュースが5本買えたのに、今日は価値が暴落したので1本しか買えない…という事態が起こります。
投資目的であれば大きな変動があっても良いのですが、実生活で物を買う時には、お金の価値が一定でなければ不便です。
仮想通貨の「価格変動が大きい」という欠点を解消したステーブルコインは、実生活で非常に使いやすいと言えるでしょう。
ステーブルコインのメリット
先ほども述べた通り、ステーブルコインは価格変動しないことが最大の特徴と説明しましたが、上記にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
この章ではステーブルコインのメリットを3つご説明します。
ステーブルコインのメリット①資産の価値を守ることができる
②暴落時の対比先となる。
③税金の手続きが楽
資産の価値を守ることができる。
2013年、ニューヨーク大学財学部のデイビット教授は「通貨が社会に広く浸透するには『取引の媒介』『価値の保存手段』『価値の尺度』として機能しなければならない」と述べました。
そのため、彼は仮想通貨は広く浸透しないだろうと予想しました。現状はどうなのでしょうか。人気の仮想通貨は取引が頻繁に行われていますし、小規模ですがNEMで決済をするような動きも出ています。
しかし、それはほんのごく一部。価値の保有手段や価値の尺度になっているか?と言われれば、まだまだなのが現状です。
そんな仮想通貨の「安定性に欠ける」という欠点を補うのがステーブルコインです。
ステーブルコインのような安定した通貨は、発展途上国のような、紙幣が突然インフレして価値が激減するような地域に住んでいる人々に対してとても魅力的です。
例えばジンバブエでは、激しいインフレにより、約10年間で紙幣の価値が従来の50億分の1になる事件が起きました。
仮に、事前にジンバブエドルを、ステーブルコインのようなボラティリティが無い通貨に両替しておけば、資産の価値を失わずにすんだことでしょう。
暴落時の退避先になる
仮想通貨が大暴落した時に、一旦ステーブルコインに避難することで資産を保持できます。価格が下がり切った時に再び元の通貨を購入することで、損を回避できます。
税金の手続きが楽
現在の仮想通貨は変動が非常に大きいため、仮想通貨で支払いをすると税金の手続きが非常にややこしくなります。しかし、ステーブルコインは価格が安定していることにより、税金の手続きも楽になります。
ステーブルコインのデメリット
市場全体の価格の不安定さ
ステーブルコインの特徴は、ボラティリティが高い仮想通貨において一定の価格を維持することにありますが、市場全体の価格が不安定なため、まだまだ実用化するには不安定であるといえます。
ハッキング等のリスク
ステーブルコインはその仕組み上、ビットコインの様に非中央集権でパブリックなものではなく、特定の管理下に置かれ運用されます。その場合、横領やハッキングのリスクが高く、この問題を技術的に解決する必要があるといえるでしょう。
決済手段としての普及
上記の問題をクリアした場合、ステーブルコインが普及するかどうかのポイントになってくるのは、「実際に使われるかどうか」です。
LINE Pay(LINEコイン)や楽天ペイ(楽天コイン)などの決済時にステーブルコインが使われるような未来が来れば、日本市場でも爆発的に広がる日が来るかもしれません。
しかし、まだまだステーブルコインは発展途上。普及するには一定の時間が必要でしょう。
注目のステーブルコインは?
現在開発されているステーブルコインの中でも特におすすめの3つをご紹介します。
注目のステーブルコイン①Tether(USDT)
②TrueUSD(TUSD)
③MakerDAO(DAI)
④Gemini dolla(GUSD)
Tether(USDT)
ステーブルコインの中で最も有名な通貨です。中央集権型で、Tether(USDT)を基軸通貨としている取引所も多くあります。2018年2月に問題が起きたことでも広く知れ渡りました。
テザー(Tether)とは?特徴や将来性、テザーにまつわる疑惑を解説
TrueUSD(TUSD)
TrustToken社が発行しており、ドルと連動しているステーブルコインです。取引の際には間に信託会社を挟んでいるため、信頼性が高いのが特徴です。
MakerDAO(DAI)
仮想通貨担保型のステーブルコインで、ETHと連動するように調整されています。
Gemini dolla(GUSD)
Gemini dolla(GUSD)は起業家のウィンクルボス兄弟が運営する仮想通貨取引所ジェミニが発行する通貨です。
2018年9月10日より、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)が認可したはじめてのステーブルコインとなりました。
規制当局に認可された”初の”ステーブルコインを発行=ウィンクルボス兄弟の仮想通貨取引所ジェミニ⚡️
◆ジェミニ・ドル(GUSD)と呼ばれ、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)が認可
◆イーサリアムネットワークが基盤
◆ドルの残高は毎月、独立した監査法人が調査https://t.co/RAxZgr7Xll
— コインテレグラフ@仮想通貨ニュース (@JpCointelegraph) 2018年9月10日
イーサリアムネットワークを基盤にしていて、米ドルの残高が十分にあるのか「上場監査法人」が毎月確かめるとの条件つきの認可となっています。
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ステーブルコインの課題
仮想通貨が一般に流通するために必須になりそうなステーブルコインですが、主に3つの課題があります。
ステーブルコインの課題①世界規模での普及が必要
②中央集権の運営になると危険
③発行しているコインを本当に保有しているか分からない
世界規模での普及が必要
ステーブルコインは複数開発されていますが、まだまだ実用化には遠いです。日本では法的な問題があり、まだ実用化できていません。
普及に関しては、各国と連動し世界的な認知と承認を得る必要があるため、G20などの今後の動向がステーブルコインの今後に大きな影響を与えるでしょう。
中央集権的な運営になると危険
中央集権的な運営とは、力が一部に密集した状態です。いくら安定的なシステムとはいえ、ステーブルコインの運営の中心となっている会社が事件を起こすなどして信頼を失った場合、安定的な取引は不可能です。
発行しているコインを本当に保有しているか分からない
法定通貨担保型の場合、発行している分のコインを会社が保有している必要があります。
例えば、「500万円分のコインを買ってください〜」と宣伝している会社が実際には100万円分のコインしか持っていない場合、本当はそんなに売ることができませんよね。
この詐欺のような状態が許されるのであれば、本当はコインを持っていないにも関わらず、無限にお金を集められることになります。
実際に2018年2月、Tether社に「保有している以上のコインを売っているのではないか?」という疑惑がかけられ、大きな問題となりました。この問題に関しては未だ解決されておらず、現在も調査中です。
登場してからまだまだ日の浅い仕組みですから、使っていく中で色々な不具合が起きるのが現状です。
ステーブルコインの将来性
仮想通貨のデメリットである「価格の不安定さ」が解消されることから、世界中で広く使われる可能性があります。
現在は一部の人が主に投資目的で利用している仮想通貨ですが、実用性が備われば一気に仮想通貨が普及すると考えられます。
そのためには、発行しているコインを本当に保有しているのか確かめるシステム作り、プライバシーの保証を強化すること、中央集権的な体制にならないようにすること等、まだまだ課題も山積みです。
日本ではまだまだ実用化が進んでいないのが現状。法整備がなされていないので、日本でのステーブルコインの実用化はもう少し先になりそうです。
現状ではまだまだ未知数のステーブルコインですが、各国際銀行では、積極的に実用化に向けた開発が行われています。
6つの国際銀行は、Stellarパブリックブロックチェーンを使用したIBMの支払いネットワークであるWorld Wire上でステーブルコインを発行するという意向書に署名した https://t.co/YJ5z7fUilH
— コイン相場・仮想通貨アプリ by ⛩️ (@coinjinja) 2019年3月19日
OKEXで4つのステーブルコインを取扱い開始
中国系の大手仮想通貨取引所OKEX(オーケーイーエックス)で4種類のステーブルコインの取扱いを開始することを発表しました。
- TrueUSD(トゥルーユーエスディー/TUSD)
- USDCoin(USDコイン/USDC)
- Gemini dollar(ジェミニドル/GUSD)
- Paxos Standard Token(パクソス・スタンダード・トークン /PAX)
取引に関しては2018年10月16日から、4つのステーブルコインのBTCペアとUSDTペアが取引可能とのことです。
OKEXは取扱い通貨が100種類を超えており、一部の熱狂的なユーザーを抱えている取引所です。
ビットバンクやリキッドバイコインでBTCを購入し、OKEXに送金後にステーブルコインを買ってみてはいかがでしょうか?
GMOコインでステーブルコインを買おう
2019年度に、GMOコインでステーブルコインの購入が可能となる予定です。
決済の手段として、広く普及される可能性があるので、今のうちにGMOコインの無料登録だけ済ませておいても良いかもしれません。
スマホアプリの使い安さが抜群!
スマホで仮想通貨を買いたい方は必須の取引所
まとめ
ステーブルコインが仮想通貨の普及に大きな影響を与えることがお分かりいただけたでしょうか。
現在は投資目的の仮想通貨ですが、資産保護の観点からも需要は大きく、数年後には実用化される可能性は高いと言えます。
今後注目を集める可能性が高いジャンルですので、今から情報収集をしておいて損は無いでしょう。